2016 年 19 巻 3 号 p. 461-465
エダラボンを用いた治療は患者の神経学的予後を改善する一方,急性腎障害発現のリスクがあると報告されている。本研究はエダラボン投与による急性腎障害発現を予防するために,エダラボン投与時の患者背景から危険因子を解析することを目的とした。岡山大学病院においてエダラボンが投与された患者を対象に,患者基本情報およびエダラボン投与情報,血液検査結果を電子カルテより遡及的に調査した。調査データから単変量解析を実施し,抽出した因子を用いて二項ロジスティック回帰分析を行った結果,感染症の併発が,エダラボンによる急性腎障害発現の有意な危険因子(予測因子)であることが示唆された。したがって,感染症の所見がある患者にエダラボンを投与する際は,急性腎障害発現に留意する必要がある。