日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
小児専門施設における災害医療体制整備の課題:入院患者に対する災害トリアージ訓練からの検討
問田 千晶六車 崇橋本 圭司
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2016 年 19 巻 3 号 p. 474-479

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抄録
はじめに:当小児施設は,大規模災害被災時でも長期間医療を提供可能にする医療が未整備で,職員の多くは災害教育を受けていない。このような施設において被災時の患者避難を想定した場合,全入院患者の避難優先度の把握の際に,簡易かつ迅速にトリアージ可能なSTART式トリアージが有用と考えた。目的:START式トリアージの技術習得を目的とした災害訓練を実施し,教育効果を検証すること。方法:当施設の医師339名,看護師611名を対象に,入院患者374例に対しトリアージを実施した。事前教育の状況,トリアージ・タッグの完成率,START式トリアージの正答率を検証した。結果:訓練実施前の教育期間として2 カ月を要したにもかかわらず,トリアージ・タッグの完成率,トリアージ区分の正答率は低く,1回の訓練のみでは十分な効果は得られなかった。考察:小児専門施設において災害医療体制を構築するためには,災害訓練を通じて意識を醸成するともに訓練を反復し実施する必要がある。
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© 2016 日本臨床救急医学会
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