抄録
症例は64歳の男性で,右上下肢の脱力と呂律困難を主訴に搬送された。初診時,意識清明,血圧144/86mmHg,心拍数90bpm であり,顔面を含む右不全麻痺と構音障害を認めたが,初回の頭部MRI検査では急性期病変を指摘し得なかった。入院後に右Horner徴候,右カーテン徴候,右顔面および左体幹の感覚障害が出現し,さらに傾眠傾向に伴う呼吸数の減少と高二酸化炭素血症がみられた。頭部MRIの再検査で右延髄外側に急性期梗塞巣を認めたため,中枢性低換気とOpalski症候群を伴う延髄外側梗塞と診断した。睡眠時の呼吸数減少のため37日間の人工呼吸管理を要したが,中枢性低換気は改善し人工呼吸管理から離脱した。Opalski症候群は,病変が錐体交叉後まで及ぶことにより同側の片麻痺も生じる延髄外側症候群の亜型である。Opalski症候群のほか,カーテン徴候やHorner徴候を伴う延髄外側梗塞では中枢性低換気を呈する可能性があることに留意する必要がある。