日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
心停止蘇生後患者の長期予後調査
浅香 葉子渥美 生弘川上 大祐是永 章有吉 孝一
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2016 年 19 巻 6 号 p. 720-724

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抄録

背景・目的:心停止蘇生後患者の6カ月以上の長期予後はあまりわかっていない。とくに本邦における長期予後はほとんどわかっていないため,当院における心停止蘇生後患者の長期予後を調査した。方法:2011年7月〜2013年3月に当院に入院した病院内・病院外心停止蘇生後患者の12カ月以上の長期予後を,電話などでの問い合わせにより後ろ向きに調査した。結果:期間中に心拍再開した病院内・病院外心停止患者は65例であった。生存退院症例が39例で,退院時Cerebral Performance Category(以下CPC)1-2が19例あった。心停止蘇生1年後の生存者は19例,長期CPC1-2が11例で,退院後に社会復帰できた者は9例であった。結論:当院に入院した病院内・病院外心停止蘇生後患者の生存退院率は60%と比較的良好であったが,1年生存率はその約半数であった。また神経学的予後良好者でも高次脳機能障害,ADL低下などから社会復帰が困難な例が認められた。蘇生後管理の影響や早期のリハビリの効果を検討すべきである。

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