日本臨床救急医学会雑誌
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総説
秋田県内において救急搬送された熱傷患者の臨床・統計学的検討
中永 士師明辛 華稲葉 英夫
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1999 年 2 巻 3 号 p. 287-294

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抄録

秋田県内の熱傷患者の現況を把握するために統計学的検討を行った。2年間に救急搬送された患者は181例,男性:女性=1.35:1で,年齢層別では10歳未満が多かった。平均熱傷面積(TBSA)は18.8±23.5%,平均熱傷指数(BI)は13.1±20.3,平均予後熱傷指数(PBI)は58.4±35.2であった。受傷原因は火炎熱傷が最も多かった。季節別には冬季が35.4%を占めた。秋田県は自殺率全国一位であるが,自殺企図患者は9.4%で発生頻度としては高くなかった。全体の死亡率は10.5%で高くなかったが,救急搬送された患者の重症度が必ずしも高くないためであろう。熱傷発症から病院搬入までに要した平均時間は34.7± 28.3分と長く,死亡群では生存群より有意に長くなった。これは熱傷患者を受け入れる施設が各地域で限定しているためで,早期より専門的な治療が受けられる体制づくりの必要性があると思われた。

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© 1999 日本臨床救急医学会
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