1999 年 2 巻 4 号 p. 375-385
救急活動をUtstein方式で記録している5地域(秋田市,船橋市,東京北多摩北部地区,名古屋市,大阪北摂地区)の人口当たりの疫学的数値(population-based)を基に,院外心停止症例の予後を改善するに有効な「病院前救急医療システム(EMS)」の機能評価を行った。調査結果に地域差はみられたが,人口10万人当たりの病院外心停止数は年間51.9人であった。約3/4が蘇生対象となり,心原性は44.5%(21.8人/年/10万人),心室細動・心室性頻拍例(VF/VT)は1.9人/年/10万人であった。VF/VT群は他の心電図群よりも転帰は良好だが,欧米に比し頻度は低かった。生存退院は目撃者がある例に多く,bystanderによる心肺蘇生法が施行された例に多かった。今回の検討から院外心停止例の予後改善には,①心肺蘇生法の普及・訓練や②現場での二次救命処置の実施が有効と思われた。異なるシステムを有する地域間での成績を解析した結果からみると,一般救急隊と上級隊の二層構造(two tired EMS)を有するシステムの方が院外心停止例の予後を改善するには有効であると思われた。