1999 年 2 巻 4 号 p. 386-390
長崎県の有人離島75のなかに約16万人が生活しており,そこで発生した三次救急患者の医療支援のためにヘリコプター搬送が行われている。離島の救急医療体制のなかで脳神経外科疾患を中心に検討した。方法:1989年から96年までの8年間に脳神経外科疾患搬送で疾患や年齢・発症率を離島医療圏毎に検討した。結果:同搬送は590例であり,医療圏の平均搬送患者数(人/年)と発症率(/人口10万人)みると,対馬地区19.1人で発症率45.2人,壱岐地区19.0人で発症率55.3人,上五島地区年間15.6人で発症率37.6人,下五島地区20.0例で発症率43.6人であった。発症率は全地区50歳以上から増加しており,とくに壱岐の70歳代は125.8人と高かった。まとめ:離島の各医療圏で集中治療が必要な脳神経外科患者は年20名程度であり,脳神経外科施設を運営するには経営上問題がある。ヘリコプターを含めた搬送をさらに早く安全にできる体制に費用をかけるべきだと思われる。