2017 年 20 巻 4 号 p. 608-615
目的:島根県立中央病院ではRapid Response System(RRS)を導入する際に,当院の課題を抽出し対応を検討した後に運用を開始した。開始後1年間の結果を分析し,導入後の課題を再評価した。方法:RRSの要請記録および電子カルテを分析し結果を検討した。結果:導入後1年間のRRS 要請症例は187件,要請内容の内訳は循環器系78件,呼吸器系53件,神経系34件,全般事項9件などであった。要請者の9割以上が看護師であり,RRS要請時心肺停止(CPA)であった症例は開始後6カ月(前期)で15件あったが,その後の6カ月間(後期)では3件と有意に減少していた。考察:CPA症例が減少した要因としては,異常が発生した早期に,かつ呼吸器系の理由で要請され,それに対する処置が奏功した可能性が示唆された。これらの結果を踏まえて,今後は客観的な指標を取り入れて効果を検証していく必要がある。その他の課題としては,継続的な教育,コードステータスの理解と導入,データの確実な登録と解析,フィードバック体制の周知と管理部門の継続的なサポートなどがあげられた。