背景:ST上昇型心筋梗塞に対する病院前標準12 誘導心電計(Pre-hospital 12 lead electrocardiogram,以下,PH-ECG)の活用は,治療時間を短縮し死亡率を減少させるが,わが国におけるPH-ECGの使用率,教育の普及率および内容に関する具体的な報告はない。目的:PH-ECGに関する実態調査を行い,救急隊における12誘導心電計の使用状況について調査すること。また,教育施設におけるPH-ECG教育の現状とその問題点を抽出し分析すること。方法:選択した全国の104消防機関,38の民間救急救命士教育施設へそれぞれアンケートを送付し,回答を得た。結果:PH-ECGを使用していると回答したのは49.3%であった。PH-ECGの使用理由では,急性冠症候群の鑑別がもっとも多く(34/34),地域メディカルコントロールによる推奨がもっとも少なかった(13/34)。また,PH-ECGの活用を指導している教育施設は4施設(18%)に留まった。結論:臨床におけるPH-ECGの普及率の増加に比べ,教育施設ではその普及が十分でなかった。今後,地域内でのPH-ECG使用のためのシステムの構築と,その教育が不可欠である。