2017 年 20 巻 6 号 p. 726-732
背景:多数の一般ボランティアから構成される医療救護隊員に,短期間で医療救護の知識や対応を習得させることを目的に,マストレーニングの手法を用いた教育プログラムを作成した。方法:横浜マラソン2015の救護隊員講習会で実施する「一次救命処置および無線通信に関する教育プログラム」を作成した。その教育効果は講習の理解度で評価し,講習会の前後で比較した。結果:医療救護隊員414人への講習を,延べ7人のインストラクターのもと7日間で終了できた。講習会の教育効果は得られており,受講生の約8割が講習内容を理解できていた。結語:マストレーニングの手法を用いることで,最小人数のインストラクターで,短期間に多数の医療救護隊員に対する講習を実施することができた。複数の医療救護隊員を養成する必要がある東京オリンピック2020などでは,われわれの教育手法が応用できる可能性が示唆された。