2017 年 20 巻 6 号 p. 719-725
はじめに:当院はドクターカー(doctor car,以下,DC)事業を行っており,脳卒中を疑う症例にも出動している。今回,rt-PA静注療法を行った超急性期脳梗塞症例に対しDCがどのような影響を与えているか後方視的に検討を行った。方法:2011年9月から2016年6月までのrt-PA静注療法を行った57例をDCの介入した群(以下,DC群)10例とDCが介入せず救急車で当院に搬送した群(以下,AM群)47例に分け年齢,性別,病因,基礎疾患,入院時・退院時National Institute of Health stroke scale,時間経過,予後に関して比較検討を行った。結果:覚知から治療開始までの時間がDC群で約24分短縮(p<0.05)されていることがわかったが,予後に有意差はなかった。結論:超急性期脳梗塞においてDCで早期医療介入を行うとともに,受け入れる病院のスタッフと迅速かつ正確な情報共有を図り多職種でのチーム医療を実践することが重要である。