日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
化膿性脊椎炎の診断におけるMRIの有用性:3例報告
入江 康仁新美 浩史
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2017 年 20 巻 6 号 p. 757-762

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抄録

化膿性脊椎炎は一般的に臨床診断や画像診断が困難で,不明熱などとして見過ごされやすく再発率も高いことから,救急総合診療における重要な鑑別疾患の一つである。2015年度にMRI が診断に有用であった3例の化膿性脊椎炎を経験したため,早期診断におけるMRIの有用性について考察した。本疾患は血行性感染が多く,椎体内の動脈は軟骨終板直下で血管網を形成し,病原体が留まりやすく感染の好発部位である。そのため軟骨終板直下から感染が始まり,炎症は椎体から椎間板を経て隣接した椎体に波及し,やがて椎間板が狭小化する。そして前縦靭帯下,さらに靭帯を越えて進展し傍椎体膿瘍や蜂窩織炎を形成する。単純MRIは早期診断が可能であるが,症例2や3のような炎症初期では特異度は劣るため椎体や椎間板などに形状変化が現れる前の化膿性脊椎炎を診断することが困難である。しかし,造影MRIでは炎症初期でも感染巣に造影効果が得られるためより早期の診断に有用である。

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