2018 年 21 巻 3 号 p. 519-522
症例は気管支喘息の既往がある42歳の女性。痙攣を主訴に救急搬送された。テオフィリンの処方を受けており,アドヒアランスは不良であった。来院時の血中テオフィリン濃度が高値であったことからテオフィリン中毒と診断した。第2病日の日中まで痙攣の再発はなくテオフィリン血中濃度も治療域まで低下していたが,同日夜に痙攣が起こった。テオフィリンによりビタミンB6欠乏が生じ痙攣の原因となった可能性を考慮し抗てんかん薬に加えビタミンB6の補充を行った。その後痙攣再発はなく第8病日に退院した。テオフィリン関連痙攣(以下TAS)はテオフィリン使用者にテオフィリン血中濃度と無関係に生じる痙攣で,ビタミンB6欠乏の関与が推測されている。ビタミンB6補充は安価で副作用の懸念も少なく,痙攣の予防や治療という重要な効果が期待され,テオフィリン中毒やTASの可能性がある症例に対してはその早期の補充が有用と考えられた。