2018 年 21 巻 6 号 p. 729-734
目的:救急搬送状況の改善のため,迅速かつ適切な救急搬送体制の確立に向けた施策を実施した。方法:①救急現場におけるタブレット端末を利用した医療機関検索,②搬送困難事案受入医療機関の確保,③MC医師による搬送先コーディネート,など。結果:重症以上傷病者搬送事案では,医療機関への照会回数4回以上の割合が平成23年の10.6%から,平成28年は4.1%と有意に減少した。また,平成29年に,搬送困難事案受入医療機関に要請が可能となる基準に達した事案のうち6号基準を適用して要請を行った件数は23.7%で,要請したうちの80.2%が受け入れられ,重症以上傷病者搬送事案では,現場滞在時間30分以上の割合が平成24年の16.7%から,平成28年は13.3%と有意に減少した。考察:新たな救急医療情報システムでは,救急現場において医療機関の受入状況がリアルタイムで確認でき,医療機関選定の有効なツールとなった。結語:今後,データの分析を進め,救急活動の質の向上とさらなる救急搬送受入体制の改善に役立てていく。