2018 年 21 巻 6 号 p. 761-765
症例は57歳,男性。陰茎に金属リングを装着し,抜けなくなったが放置していた。Day 10に陰茎痛が増悪したため,近医受診し,同院での対応が困難なため奈良県立医科大学附属病院高度救命救急センターに紹介となった。陰茎根部にステンレス製の幅15mm,厚さ7mmの金属リングが装着されていた。リング周囲の皮膚は潰瘍形成し,陰茎・陰囊はうっ血様で,両鼠径部に疼痛・熱感を伴う発赤を認めた。通常の工具やリングカッターでは切断不可能であったため,院内駐留型救急隊(ワークステーション)経由で救助隊を要請した。装備の空気鋸で絞扼物を切断し,所要時間8分で絞扼を解除できた。創治癒および鼠径部の蜂窩織炎の加療目的に入院し,Day 43に勃起障害・排尿障害を残すことなく自宅退院となった。硬性陰茎絞扼症に対しては救助隊との連携により迅速に切断が可能であると考えられる。