日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
当院救命救急センターに搬送された重症外国人患者診療の検討
下山 京一郎東 一成織田 順
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2020 年 23 巻 1 号 p. 19-26

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抄録

2017年度訪日外国人観光客は2,869万人であった。東京オリンピックが迫り,増加する外国人観光客に対する医療体制の構築が急務である。東京医科大学病院救命救急センターは三次救急症例のみが搬送される救命救急センターであり,比較的多数の外国人患者が搬送される施設である。そこでわれわれは,訪日外国人観光客を含む重症外国人患者87例についてその傾向,診療上の障壁について検討した。男女比は2:1で,国籍別割合はアジア人で74%を占め中国人が33%と最多であった。54%に何らかの形で通訳が必要で,51%の患者が入院した。 傷病としては心肺停止が最多であり25%を占めた。未収者の割合は14.9%に及んだ。診療上の障壁としては大使館,国際搬送サービスなど他機関との連携に難渋することが多かったが,言語面,文化面での問題に難渋した例は少なかった。通訳者のなかに専門職はほとんど含まれておらず,医療安全面でのリスクが高い状態で重症外国人患者診療が行われていることがわかった。

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