目的:香川県内救急隊員の児童虐待に関する認識と経験を明らかにする。方法:児童虐待に関する質問紙調査を救急隊員(1,167人)に実施。結果:有効回答は561。虐待の4分類を知っている者24.1%,通報先を知っている者は49.2%で,虐待対応に関心がある者は85.4%,虐待対応への不安がある者が73.6%いた。虐待の学習経験がある者は33.9%,虐待事例対応経験がある者が19.3%いたが,学習経験・虐待事例対応経験と不安の有無の間にはどちらも差がなく,学習経験と知識には,統計学的有意差があった。不安内容は【知識不足】,【虐待の判断困難】などで,多職種連携のための要望として【虐待対応のための体制づくり】,【マニュアル類の作成】などがあがった。結論:救急隊員は虐待対応に関心はあるが,知識・経験不足があり,対応への不安を感じていた。多職種間での症例検討や実践的教育,救急現場に特化したマニュアル・体制づくりが必要である。