日本臨床救急医学会雑誌
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原著
香川県救急隊員の児童虐待対応に関する認識と経験についての調査研究
四宮 理絵岸上 多栄子山本 潤美粂橋 美帆國方 美佐黒田 泰弘
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2021 年 24 巻 3 号 p. 346-353

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抄録

目的:香川県内救急隊員の児童虐待に関する認識と経験を明らかにする。方法:児童虐待に関する質問紙調査を救急隊員(1,167人)に実施。結果:有効回答は561。虐待の4分類を知っている者24.1%,通報先を知っている者は49.2%で,虐待対応に関心がある者は85.4%,虐待対応への不安がある者が73.6%いた。虐待の学習経験がある者は33.9%,虐待事例対応経験がある者が19.3%いたが,学習経験・虐待事例対応経験と不安の有無の間にはどちらも差がなく,学習経験と知識には,統計学的有意差があった。不安内容は【知識不足】,【虐待の判断困難】などで,多職種連携のための要望として【虐待対応のための体制づくり】,【マニュアル類の作成】などがあがった。結論:救急隊員は虐待対応に関心はあるが,知識・経験不足があり,対応への不安を感じていた。多職種間での症例検討や実践的教育,救急現場に特化したマニュアル・体制づくりが必要である。

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