日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
Print ISSN : 1345-0581
ISSN-L : 1345-0581
原著
救命救急センターに搬送された小児外傷傷病者における病院前バイタルサイン記録と処置実施率の年齢層による比較
篠原 真史六車 崇問田 千晶嶽間澤 昌泰安部 猛竹内 一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 24 巻 5 号 p. 654-658

詳細
抄録

目的:救急搬送に占める小児傷病者の割合は少なく,病院前における小児対応の機会が十分であるとはいえない。小児外傷における病院前でのバイタルサイン記録率と処置の実態を調査し,年齢による違いを分析した。方法:当救命救急センターに現場から直接搬送された18歳未満の小児外傷傷病者を対象として,診療録の後ろ向き調査を行った。結果:対象は80例。いずれかのバイタルサインが未記録の症例は18例(23%),処置未実施の症例は29例(36%)。多重ロジスティック解析では,年齢がバイタルサイン記録完成に有意に関連し,年齢が高いほど未完成は少なかった〔odds ratio(OR):95% confidential interval(CI)0.834:0.749-0.929〕。また病院前における処置も高年齢であるほど未実施が少なかった(OR:95%CI 0.838:0.761-0.924)。結論:小児外傷傷病者において,年少の児では病院前バイタルサイン記録率が低く処置実施が少なかった。改善には救急隊員の教育的介入や装備の充実が必要である。

著者関連情報
© 2021 日本臨床救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top