目的:東京都の救急相談センター(#7119)の「早期受診が必要と判断した小児症例における医療機関紹介事業(小児橙事業)」において受診先案内に苦慮する患者の傷病を類型化し,円滑な受診体制を構築するための方略について検討した。方法:2019年1〜3月に東京都全救急告示医療機関317施設に仮想独歩受診症例の年齢層別診療可否と対応診療科についてアンケート調査を行った。仮想症例の傷病は,異物・液体誤飲,肘内障疑い,頭部外傷,顔面外傷,外陰部外傷,耳痛を伴う発熱とした。結果:全年齢層の平均応需可能施設の割合は37.3%。年齢層・傷病別では乳児の異物・液体誤飲,外陰部外傷,耳痛を伴う発熱が低かった。全年齢層の頭部外傷と外陰部外傷,中学生の耳痛を伴う発熱は,施設間で対応診療科にばらつきを認めた。考察:紹介受診科目部分のプロトコル改訂と,応需可能な施設数の少ない傷病の初期診療マニュアルやガイドライン作成の必要性が示された。