2021 年 24 巻 5 号 p. 729-733
地域における救急搬送(以下,救急と表記)不応需の問題はさまざまな要因があるが,マンパワーや医療資源の有無に起因するものがすべてではない。地域病院を統合再編し医療資源を集約することにより,救急応需件数の増加が期待されるが,それにより救急不応需の問題が解決されたという報告はない。今回,地域の2病院が統合再編され誕生した加賀市医療センターにおいて,97%を超える救急応需率を維持することが可能となっている。統合再編による医療資源やマンパワーの集約に加え,平日の日勤帯の救急応需が新設された総合診療科(救急センター)により一元化されたこと,時間外の救急応需が内科系医師1人・外科系医師1人の計2人体制とされたこと,救急を原則すべて応需する方針が徹底されたことが,救急不応需の大幅な減少に寄与した可能性があると考えられた。