2021 年 24 巻 5 号 p. 726-728
大腸内視鏡に伴う緊張性気腹はまれであるが,今回われわれは緊急経皮的穿刺脱気を行い著効した症例を経験した。症例は73歳,男性。横行結腸の側方発育型腫瘍(LST)に対し大腸内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)を施行した。ESD開始15分頃より徐々にSpO2が低下し,呼吸促迫,腹部膨満が出現した。意識レベル低下も認めたため,呼吸管理を行いながら集中治療室へ移動した。胃管や直腸チューブを挿入するも減圧できず,腹部単純X線にて大量の腹腔内遊離ガスを認めたため緊張性気腹と診断した。緊急開腹術の準備を進めつつ経皮的穿刺脱気を行った。脱気後すぐに意識は回復し,呼吸状態も著明に改善した。腹膜刺激症状はなく全身状態は安定していたため,緊急手術を念頭に絶食・抗菌薬投与による保存的治療を行い改善した。緊張性気腹は緊急処置を行わなければ致死的となる病態であり,早急な経皮的穿刺脱気が必要と考えられる。