日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
遅発性に発症し,長時間を経て2峰性反応を示しアナフィラキシーショックへと進行したカニアレルギーの1例
岡部 貴裕沖 剛
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2022 年 25 巻 3 号 p. 580-584

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抄録

2回の同様のエピソード,すなわち,カニ摂取5.6時間後に強い皮膚症状が出現し,いったん軽減しかけて長時間(約24時間以上)を経て再び増悪,短時間のうちにショック状態となり,それぞれステロイドパルス療法,アドレナリン投与など緊急処置で改善した2歳女児例を経験した。脱顆粒のタイミングが遅れたいわゆる遅発型・遅発性アナフィラキシーの病態を有した症例であり,何らかの理由でカニ抗原の消化管からの吸収が遅延し,そのため長時間経過後にマスト細胞からの脱顆粒が始まり,しかも脱顆粒がきわめて長く持続する間に脱顆粒が2峰性となり,最終的に強い脱顆粒によりショックに至ったと推測されるきわめてまれなカニアレルギー例と考えられた。症例は,その後数回経口負荷試験(入院検査)を施行し徐々にカニ成分の解除を試みているが,安全閾値は微量にとどまっている。

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© 2022 日本臨床救急医学会
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