2022 年 25 巻 3 号 p. 620-624
症例は81歳の男性。意識障害による救急要請に対してドクターカーが出動した。同居家族が4日前にCOVID-19を発症したが,濃厚接触者である本患者はPCR 検査で陰性と判定されていた。現着時,qSOFAスコア3点の発熱を伴うショック状態にあり,COVID-19による敗血症性ショックを疑った。現場で気管挿管と静脈路確保を施行後に救急車内に収容し,並行して患者搬送受入れ交渉を行ったが,難渋した。この間に車内で人工呼吸器管理・輸液蘇生・昇圧薬投与を施行し,現場滞在時間は57分となった。病着時の抗原検査で陽性が判明したが,血液検査で貧血を,腹部CTで腹部大動脈の拡張と広範な後腹膜血腫を認めた。本病態は腹部大動脈瘤破裂による出血性ショックとの診断に至ったが,病着6時間後に永眠された。 COVID-19が疑われる重症患者に対する病院前診療においては,可及的迅速かつ的確な重症病態の原因診断に努める必要がある。