日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
痙攣,心電図異常,眼球クローヌス,横紋筋融解など多彩な症状を呈した市販薬トラベルミン®(ジフェンヒドラミンサリチル酸塩,ジプロフィリン配合錠)中毒の1例
澤村 直輝中野 航一郎内田 祐司高力 俊策
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2022 年 25 巻 3 号 p. 615-619

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抄録

市販薬であるトラベルミン®(ジフェンヒドラミンサリチル酸塩とジプロフィリンの合剤)による急性中毒は近年国内でも症例報告が散見される。うつ病の既往がある34歳男性が痙攣と意識障害で発見され,隣にトラベルミン® 120錠分の空箱(ジフェンヒドラミン換算3,100mg)を認め救急搬送された。来院時はGCS 3点(E1V1M1),瞳孔散大,眼球クローヌス,口腔内乾燥,心電図で右脚ブロック波形と頻脈を認めた。トライエージDOA®でフェンシクリジンが陽性であった。人工呼吸器管理,活性炭投与,炭酸水素ナトリウム投与,20%脂肪乳剤の投与を行い,血液透析を施行した。数時間後には心電図は正常化し第2 病日には意識レベルも改善した。横紋筋融解を合併したが軽快し,第9病日に独歩で精神科へ転院となった。トラベルミン®中毒の報告はまだ多くないが入手は簡単で,インターネットの自殺サイトで取り上げられることもあるため今後も増加が予想される。救急医療に携わる者にとって多彩な臨床所見や治療法の知識を深めることが重要である。

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