2022 年 25 巻 4 号 p. 722-726
アセトアミノフェン(N-acetyl-p-aminophenol,以下APAP)中毒に対するN-アセチルシステイン(N-acetylcysteine,以下NAC)の投与方針は,APAP 血中濃度を判断材料とすべきであるが,APAP血中濃度を自施設で測定可能な三次救急医療機関は限られている。当院は2018年に,APAPの自施設での血中濃度測定を導入し,測定結果が適切な治療方針の決定に寄与した中毒症例を2例経験した。搬入時APAP中毒を想定していなかった症例では,肝機能障害の発現からAPAP中毒を疑い薬物血中濃度を測定,即日診断に至りNAC投与開始し,血漿交換によって改善した。また,APAP血中濃度が高値で推移した症例は,薬物血中濃度がNAC投与継続の判断根拠となり肝機能障害は発現しなかった。以上,APAP中毒患者における薬物血中濃度の自施設測定は,NAC投与方針を決定するうえで有用と考えられる。