日本臨床救急医学会雑誌
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原著
ベッド上で『JRC蘇生ガイドライン2015』推奨の背板と標準的な背板を用いた胸骨圧迫の質の比較
前田 晃史宮本 いずみ八田 圭司池田 知香
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2022 年 25 巻 5 号 p. 789-796

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抄録

背板はベッド上の心停止患者の背面に敷くことで背面の硬さが増すためマットレスのたわみを減らし,最適な胸骨圧迫の深さを維持できると考えられる。本研究は『JRC蘇生ガイドライン2015』推奨の背板(以下,大背板と略す)と標準背板を用い,胸骨圧迫の質を比較した。研究デザインは無作為クロスオーバー研究であり,研究参加者30名(n=60)がベッド上の総重量約60kg のマネキンに対して大背板(500×860×13.6mm)と標準背板(430×560×10mm)を用い,各2分間の胸骨圧迫を実施した。結果は大背板と標準背板の正しい位置(p=0.36),テンポ(p=0.71),リコイル(p=0.96)に差はなく,深さのみ大背板が標準背板より2.0mm 深かった〔51.2(48.6-55.4)vs 49.2(44.2-51.3)mm,p=0.01〕。したがってベッド上での胸骨圧迫には大背板の使用を提案する。

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© 2022 日本臨床救急医学会
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