日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
多職種連携により迅速なホメピゾール投与と血液透析併用が奏功したエチレングリコール中毒の1例
桑原 達朗今中 翔一河村 剛至渡部 多真紀黒木 裕治河野 将行長尾 剛至三宅 康史坂本 哲也安野 伸浩
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2022 年 25 巻 5 号 p. 876-880

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抄録

エチレングリコール(ethylene glycol,以下EGと略す)中毒は,有毒代謝物による代謝性アシドーシスなどにより死に至ることがあり,迅速な代謝阻害薬ホメピゾールの投与や血液透析が有効である。患者は自殺目的に大量のEG を服用し,救急要請となった。推定内服時間から搬送まで約7時間,来院時の血液検査で代謝性アシドーシス(pH 7.262),アニオンギャップ上昇(24.1mEq/L)を認めた。救急隊の情報で,搬送前に薬剤師がホメピゾールを加温融解し,来院39分後にホメピゾール投与,114分後に血液透析を開始した。その結果,重度のアシドーシスの進行や乏尿を認めることなく,入院10日目に退院となった。今回の症例では,救急隊の初動から薬剤師の介入により早期ホメピゾール投与による代謝物生成抑制,CEによる透析管理,医師による病態の評価と治療方針決定など,多職種連携による迅速な治療介入が,中毒治療に奏功したことを示す。

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© 2022 日本臨床救急医学会
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