2022 年 25 巻 6 号 p. 902-906
目的:壊死性筋膜炎の診断の一助としてLRINEC scoreが提唱されているが,その有効性は報告によりさまざまである。当院におけるLRINEC score の有用性を調査した。方法:2014年3月〜2020年3月までに救急外来を受診した全患者のうち,主担当科による最終診断が壊死性筋膜炎またはフルニエ壊疽の者を対象として年齢,性別,発症から来院までの時間,血液検査結果を診療録により情報収集し,後方視的に検討した。結果:最終診断が壊死性筋膜炎またはフルニエ壊疽であったものは14例,診断に有用であったものは9例,有用でなかったものは5例であった。有用でなかった群はいずれも,前医で抗菌薬加療が行われていた症例,もしくは発症から来院までの時間が48時間未満で受診した患者であった。考察:抗菌薬前投与がなく48時間以上経過した症例ではLRINEC scoreが診断の一助となる可能性がある。