2023 年 26 巻 2 号 p. 71-79
目的:来院時心肺停止にて救急外来に搬送され,グリーフカードを配付した患者家族がグリーフカードに記載された相談窓口を認識できていたか,また相談窓口として提示する方法は活用しやすいものであるのかを調査し,死別後支援のあり方を検討することを目的とした。方法:来院時心肺停止にて搬送された患者家族を対象に質問紙調査を実施した。調査項目の記述統計とグリーフカードの活用の有無を2群に分けてχ2検定を実施した。さらに,自由記載を質的分析したミックスメソッドを研究デザインとした。結果:本調査では168名からの回答を得た(回収率24.3%)。8割が患者との死別後に医療者と話す機会を求めており,対面での応対を希望する者が69.6%と多かった。一方で,医療者との連絡を示したグリーフカードは6割で認識されていなかった。結論:患者家族はグリーフカードを配付された認識がなく,活用できていない現状があった。医療者は危機的状況にある患者家族の状況を見極め,死別後支援の方法としてグリーフカードの配付のタイミングや方法を再考していくことが課題である。