2023 年 26 巻 4 号 p. 489-496
背景:看護師は実際の急変場面で落ち着いて実践することが困難であると指摘されている。目的:本研究の目的は,救急領域のジェネラリスト看護師を対象に急変対応時に生じる生理的・心理的な生体反応を明らかにすることである。方法:シミュレータで急変場面を再現し,急変対応時に生じる生体反応として自律神経活動,脳波,唾液アミラーゼ,バイタルサイン,心理的反応(STAI)を測定した。データは安静期,実践期間を急変に気づくまで,気づいてから終了までの期間に分類して比較検討した。結果:副交感神経活動HFは,安静期から実践期間,終了まで有意な変化は認められなかった。一方,交感神経活動LF/HFは安静期に比べ,実験開始0.9から急変に気づくまでの期間で3.6と有意に上昇し(p=0.003),急変に気づいてから1.2へ低下した。心理的反応に変化はなかった。結論:ジェネラリスト看護師の急変対応は,交感神経の活性化を認めたが,急変と認識した後も落ち着いて対応していた。