日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
繰り返す腹痛と発熱を主訴に発熱外来を受診したことを契機に50歳代で確定診断された家族性地中海熱の1例
谷村 洋輔坪井 重樹
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2023 年 26 巻 5 号 p. 665-668

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抄録

症例は50歳代女性,家族歴なし。5,6年前から自然に軽快する腹痛を何度か自覚し,原因不明の腹膜炎と発熱で近医から発熱外来へ紹介された。腹部全体に腹膜刺激症状を認め血液検査で炎症反応の上昇を示すものの,その他の項目や画像検査で異常は指摘できなかった。 繰り返す症状のエピソードから,家族性地中海熱(familial Mediterranean fever,以下FMFと略す)を疑った。その後も同様の症状を繰り返すことから,FMFと臨床診断し専門機関に紹介した。関連遺伝子のMEFV遺伝子異常が同定され,FMFと確定診断した。コルヒチンの内服を開始し,発作の頻度,程度ともに著明に改善した。繰り返す発熱や腹膜炎・胸膜炎を呈する症例では,FMFを鑑別にあげる必要がある。

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© 2023 日本臨床救急医学会
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