2023 年 26 巻 6 号 p. 687-693
目的:本研究の目的は,直近のBLS訓練の経験によって,心理的準備のない状況におけるBLSの手技の質が維持されるかを検証することである。方法:同一対象者に2つの方法を行う前後比較試験で実施した。大学生21名を対象に,心理的準備のある状況とない状況でのBLSの手技の質を比較した。結果:BLS開始後5秒間の胸骨圧迫のテンポは,心理的準備のある状況ではmd 120(IQR 108-126)回/分に対し,心理的準備のない状況では96(90-120)回/分と有意に減少しており(p<0.05),推奨されているテンポより遅くなっていた。また,人工呼吸の手技の質も有意に低下していた(p<0.05)。結論:直近のBLS訓練の経験によって,心理的準備のない状況におけるBLSの手技の質は心理的準備のある状況と比較して部分的に維持できるが,BLS開始直後の胸骨圧迫のテンポ,人工呼吸の手技の質は低下することが示唆された。