日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
Print ISSN : 1345-0581
ISSN-L : 1345-0581
調査・報告
教職志望の学生への一次救命処置に関する講義方法と課題
―学校事故の実態理解と救命活動への自信の変化に着目して―
関 由起子桐淵 博
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 27 巻 2 号 p. 93-101

詳細
抄録

目的:一次救命処置(basic life support;BLS)に関する実技講習受講経験のある教職志望学生に対して,学校事故の統計や学校事故の実例を講義に取り入れることにより,救命活動への自信がどのように変化するかを検討する。方法:A大学教育学部1年生対象の講義前後にアンケートを実施した。講義ではBLSの基本と効果に加え,体育活動時などにおける事故対応テキスト〜ASUKAモデル〜,学校事故統計,死亡・救命事例などについて説明した。結果:回答率は80.4%(316名)であった。実技講習の受講経験があるものは275名 (87.0%)であり,受講場所では中学校の授業がもっとも多かった(62.7%)。しかし,「救命活動ができる」と回答した割合は8.2%であった。救命活動への自信(11段階SD法)は,講義前後で平均3.8の上昇があり,多変量解析の結果,自信の変化理由を「やらなければという自覚が高まったから」と回答した場合に有意に自信が高かった。結論:学校での事故の実態と事例を理解することにより,子どものいのちを守ることが教員の使命との認識が高まり,救命活動への自信が高まることが明らかとなった。

著者関連情報
© 2024 日本臨床救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top