日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
集中治療室における抗微生物薬を中心とした薬剤師主導のプロトコルの報告と導入後のアンケート調査
小林 洋平釜野 健太郎長谷川 翔河津 敏明中川 直樹深津 祥央烏野 隆博
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2024 年 27 巻 4 号 p. 529-536

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抄録

救急・集中治療領域における抗微生物薬に関連する薬物療法プロトコルの報告は少ない。当院の救命救急センター集中治療室では,薬剤師が主導となり,薬物療法の適正化および標準化を目的とした「腎機能の評価方法」,「抗微生物薬の用法用量」,「バンコマイシンの投与設計」に関連する3つのプロトコルを運用している。医師・薬剤師17名のうち各プロトコルの満足度を5点満点中4点以上と回答したのはそれぞれ88%,100%,88%であった。また,プロトコル導入により介入時の薬剤師の心理的ストレスの軽減がみられた。プロトコル導入前後では,腎機能の用法用量に関する処方介入が有意に減少しており,プロトコル化により,医師による薬物治療の適正化が示唆された。一方でバンコマイシンの介入は有意に増加しており,薬剤師の積極的な介入が推進された。これらのプロトコルは,本領域での医師-薬剤師間の薬物療法を円滑に進める可能性が示唆された。

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