日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
救急救命士法改正後の病院救急救命士の現状と将来の展望
―処置拡大二行為にかかわる追加講習主催の経験―
中村 篤雄仲本 徹男村井 亮太
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2024 年 27 巻 4 号 p. 537-542

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抄録

改正救急救命士法により,病院救急救命士の活躍の場が広がることが期待されている。救急救命処置の一部は国家資格取得時期によって追加講習が必要となるが,これまで病院救急救命士は追加講習の対象ではなかった。この課題に対処すべく,2022年12月に病院主催にて処置拡大二行為の追加講習を実施して認定を得た。さらに,病院救急救命士連絡協議会を発足させ,複数の医療機関で働く救急救命士の連携を開始した。医療機関でのタスクシフト/シェアの効果に対する調査では,救急救命処置による業務負担の軽減は大きな効果ではないと報告されているが,医療機関の規模や職種としての位置づけにより業務が異なると考えられる。病院前救護をもとに発展した救急救命士の役割は,病院救急救命士に求められる業務と乖離があり,解決すべき課題がある。まずは現行法のなかでチーム医療の一員として存在感を高め,医療機関の一つの職種として確立していくことが重要である。

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