日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
海外からの総合感冒薬を過量に内服し急性精神病症状を呈したと考えられた1例
杉田 真穂田中 保平倉井 毅本村 太一山根 賢二郎崔 龍洙相澤 健一今井 靖米川 力間藤 卓
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2025 年 28 巻 3 号 p. 569-573

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抄録

症例は40歳の中国人男性。当院へ搬送される2日前から全身倦怠感が出現し,自国から持参した総合感冒薬(OTC薬)を過量に内服した。当院搬送の前日から錯乱状態を認め,同僚によって救急要請,救急搬送された。意識が改善した後に通訳を介して詳細な問診を行い,内服薬の成分表を確認したところ総合感冒薬にアマンタジンが含有されていることが判明し,アマンタジン過量摂取による急性精神病症状が疑われた。入院翌日以降,錯乱は消失した。後日,総合感冒薬に含まれるアマンタジン量を測定したところ,成分表よりさらに15%多いことが判明した。アマンタジンの血中濃度測定は行えなかったためその他の薬剤の関与を否定することはできなかったが,海外から個人が持参した総合感冒薬には本邦とは異なる成分・量が含有されている可能性があるとの教訓を得た。加えて臨床所見に加え丁寧な問診,持参薬の確認の重要性を改めて認識することとなった。

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