2025 年 28 巻 6 号 p. 911-915
脳動脈瘤によるクモ膜下出血に合併する脳血管攣縮は,生命予後に大きく影響する病態であり,その予防が重要である。2022年より臨床導入されている選択的エンドセリンA(ETA)受容体拮抗薬クラゾセンタンは,脳血管攣縮の高い予防効果が期待されている一方,体液貯留などの浮腫性合併症が臨床上の課題となっている。本稿では,クラゾセンタン投与中の70歳代女性が抜管直後より喉頭浮腫を発症し,急速な気道狭窄により緊急再挿管を要した症例を提示する。クラゾセンタンの薬理作用に基づいたETB受容体作用の相対的増強や,クモ膜下出血後の全身性炎症,高齢者特有の血管脆弱性が重なり,喉頭浮腫が急速に進展したと考えられた。本症例は,クラゾセンタン投与中の患者における上気道浮腫のリスクに対する新たな警鐘であり,今後の薬剤管理戦略に重要な示唆を与えるものである。