2000 年 3 巻 3 号 p. 345-349
頭部外傷患者において,聴性脳幹反応(auditory brainstem response)に加え,40Hz聴性定常反応(40Hz auditory steady-state response)を併用し,予後推定における有用性を検討した。対象は,平成7年10月から平成11年3月に当センターに救急搬入された頭部外傷患者42例とし,搬入から48時間以内に測定したABRとASRの評価と転退院時の意識レベルとの相関,および48時間以降経時的に測定したABRとASRの推移を比較した。その結果,受傷早期に測定したASRはABRに比べ,転退院時の意識レベルをよく反映し,また経時的に測定することで,ASRはより一層転退院時の意識レベルを正確に反映することが明らかとなった。したがって,頭部外傷患者において,ABRに加えASRを受傷早期に測定することで,予後診断の信頼性を従来のABR単独測定時よりさらに高めることが可能と考えられた。