2001 年 4 巻 1 号 p. 51-54
非常にまれな縫い針嚥下による虫垂内異物1症例を経験したので報告する。症例は35歳男性。全身倦󠄀怠感,腰痛を主訴とし近医を受診し,腹部単純X線撮影とCTで消化管内の縫い針とカッターナイフの刃を指摘され,当院へ紹介された。保存的加療により刃は自然排泄されたが,縫い針は虫垂内に停滞し,腹膜炎症状が出現したため手術的摘出を行った。手術所見では,縫い針は耳側が虫垂内に落ち込んで尖端が盲腸壁に当たり炎症を起こしており,虫垂切除を行った。一般的には,鋭的異物であっても幽門を越えれば保存的加療が原則と思われる。しかし,臨床的に炎症所見が出現しないかどうか厳重な経過観察が必要であり,消化管内,とくに虫垂内に停滞した場合には手術的摘出が必要と思われる。