2001 年 4 巻 5 号 p. 468-471
従来よリエピネフリン(Epi),ノルエピネフリン(NE)の侵襲時の上昇については報告が多いが,内因性ドパミン(DA)の血中濃度の動態についての報告は少なく,その臨床的意義についても不明な点が多い。 この問題を解決するために心肺停止(CPA)群,非CPA群,およびボランティア群について血中カテコラミンの変動について検討した。この結果,非CPA群においてDAとNEは有意な正の相関を示し,NE/DAの比は22であつた。CPA群でもNE/DAは21であつたがDAとNEは相関を示さなかった。ボランティア群ではNE/DA比は54と他群より有意に高値であった。以上より,DAは生理的状態では血中放出はごく軽度であるものの侵襲時は大量に放出され,かつ非CPAではその放出はNAと正の相関を示していることが示された。