日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
地方における救急医療体制の新しい挑戦
—日南町方式救急自動車医師同乗システム—
渡辺 勝也高見 徹竹茂 幸人平岡 裕岡本 勝北村 郁代田村 啓達
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2003 年 6 巻 3 号 p. 330-337

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抄録

鳥取県西部広域行政管理組合江府消防署生山出張所では,平成13年5月7日から鳥取県日南町において日南町国民健康保険日南病院の協力を得て,同町内へ救急車が出場する際,同病院医師が救急車に同乗し,救急隊員とともに活動することで早期の医療開始と住民の安心を目指す試みを開始した。同乗対象は平日の13~18時の間に日南町で発生した救急車の出場要請すべてである。運用開始後10か月間に26件出場し28人を搬送した。340km2の広大な町で65歳以上の高齢者が人口の40%を超す状況のなか,生命予備能の低下した高齢者や重篤傷病者に対する早期の医療開始と,救急隊員の臨床研修に有効であった。本システムは,町内唯一の二次救急病院である日南病院と消防機関が連携し,住民に対してできることを模索して構築した独自のシステムである。救命救急センターやドクターカーの運用が困難な地方の救急体制の確立とメディカルコントロールの1例として紹介する。

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© 2003 日本臨床救急医学会
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