2004 年 7 巻 3 号 p. 274-279
平成14年11月徳島県主催で近畿府県合同防災訓練が行われた。合同防災訓練における医療の関わりを検討することを目的として,訓練に参加した医師・看護師・事務職員44名(救護者群),看護学生200名(傷病者群)にアンケート調査を行った。災害医療への興味があるものの訓練に不満をもったと答えた者が救護者群の23.8%,傷病者群の45.9%にあり,多くがより充実した内容の訓練を期待していることが明らかとなった。従来の広域防災訓練では,医療関連の訓練が全体に占める割合が少なく,傷病者の流れの中に医療部門が関わる訓練は限られていた。今後多様化する災害において医療活動が求められる場面は多い。医療の役割を浮彫にする広域防災訓練の実施に向け,①救出・救助の段階から医療チームを投入するシナリオでの訓練,②災害医療や訓練に関する事前勉強会の開催,③災害拠点病院など公的病院スタッフの訓練参加,などの工夫が必要である。