中国四国地方の全消防本部に質問状を送付し,管轄地域における市民CPRの実施状況について調べた。対象は2001年1月から12月に中国四国地方の救急隊が搬送した心肺停止患者で,発症時の目撃者の有無ごとに,救急隊員の現場到着時に市民による心肺蘇生法が実施されていた患者の割合を調べた。その結果,中国四国地方の117消防本部のうち111本部から回答を得た。これらの本部が2001年に搬送した心肺停止例は合計7,812例(目撃例2,237例,目撃なし5,575例)で,市民によるCPRの中国四国地方平均実施率は28.5%であった。このうち,目撃例での実施率は42.5%,目撃なしでは22.8%であった。発症が目撃された例であっても,半数以上の病院外心肺停止患者が市民による心肺蘇生の処置を受けないまま救急隊員に引き継がれている現状であり,心肺蘇生法普及のためいっそうの努力が必要と考えられた。
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