日本臨床救急医学会雑誌
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臨床経験
口腔内杙創の臨床的検討
—とくに画像診断と治療方針に関して—
当麻 美樹高岡 諒平方 栄一渡瀬 淳一郎切通 雅也松阪 正訓尾中 敦彦塩野 茂田伏 久之
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2005 年 8 巻 3 号 p. 221-230

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抄録

口腔内杙創の臨床的特徴,診療上の問題点(とくに画像診断と治療方針)につき,自験例7例と文献より考察を加え,さらに異物の種類による画像所見の相違を実験的に検討した。本損傷は,乳幼児では決してまれではなく,その多くは自然治癒していると考えられている。しかしながら一方で,穿通性損傷をきたし急速に生命危機に陥る症例も報告されている。穿通性損傷では,異物の直接損傷による出血や気道閉塞,脳脊髄損傷や脳血管損傷といった受傷直後より生じる病態,後咽頭膿瘍や縦隔膿瘍,内頸動脈閉塞による広範囲脳梗塞のように受傷数時間経過してから出現する病態,遺残膿瘍のように受傷後数カ月から数年して明らかとなる遅発性感染性合併症が問題となることを念頭において診療にあたることが必要である。また,安易な創処置や診察のみで帰宅させるべきではなく,異物遺残の可能性や神経学的異常所見を認めた場合には,十分な鎮静下に画像診断を行い,数日間の入院経過観察が望ましい。

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© 2005 日本臨床救急医学会
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