日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
当施設からみた道路交通法改正前後の外傷患者の変化
野田 彰浩木下 浩作丹正 勝久林 成之
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2005 年 8 巻 3 号 p. 246-249

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抄録

〔背景〕平成14年6月1日に道路交通法(道交法)が一部改正され,罰則が強化された。〔目的〕日本大学医学部付属板橋病院救命救急センターに搬送された患者を対象に,道交法改正前と後の各1年間で交通外傷患者や飲酒運転交通事故患者の数,重症度が改善したか否かを検討した。〔方法と結果〕道交法改正前後の全外傷患者に対する交通外傷患者の比率および全交通外傷患者について初診時のAPACHE Ⅱ値とISS値の比較を行った。さらに飲酒運転事故による外傷患者について同様の比較を行った。道交法改正前後でこれらの数値に統計学的有意差は認めなかった。〔結論〕三次救急を担う当施設では,道交法改正前と後の1年間では交通事故および飲酒運転事故による患者数の減少や重症度に統計学的有意差をみいだすことはできなかった。交通外傷患者の転帰改善には,道交法改正のみでなく病院前救護や外傷初期診療システムの構築と普及が急務である。

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© 2005 日本臨床救急医学会
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