2006 年 9 巻 5 号 p. 399-403
症例は32歳女性。高揚感を得る目的でエアゾール式簡易消火具のガス(代替フロン,HFC‐227ea)を吸入し,日と手に凍傷を負ったが保存的に治療しえた。代替フロンは現在でも様々なものに使われている。フロン系化合物は中枢神経系,呼吸器系,心筋刺激伝導系に有害であり,また直接接触すれば凍傷を来すが,本邦では広くは知られていない。本症例の経験をふまえ,フロン系化合物の歴史と現状,分類,人体に対する有害作用に関して考察した。本症例で用いられた簡易消火具の注意書きには,特に人体に対する有害作用は明示されていなかったが,明記すべきと考えられた。