日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
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原著
重症肝損傷に対する救急室開腹手術の意義
阪本 雄一郎益子 邦洋松本 尚原 義明朽方 規喜武井 健吉Hiroyuki UENO富田 祥輝山本 保博
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2006 年 9 巻 6 号 p. 428-432

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抄録

背景:重症外傷患者の治療戦略としてDCS(damage control surgery)の重要性が報告されているが,当科では実践的で簡便な基準(血圧90以下,BE −7.5以下,体温35℃以下)を用いて DCSの決断を行っている。目的:救急室開腹手術(emergency room laparotomy;ERL)の意義を当科のDCS決断基準に基づき検討する。対象と方法:平成6年から平成18年1月までに当科で経験した肝損傷269例中,開腹手術の行われたⅢb型肝損傷19例を対象に,ERL施行群(A群)と非施行群(B群)に分け比較検討した。結果:A群がB群より有意に予測生存率が低く,A群は全例が当科のDCS決断基準の3項目を満たしていた。A群中4例の死亡例は,来院から平均34.3分(21-62分)で手術を開始しているが,当科の示したDCS決断基準の3項目を来院から平均22.5分(17-34分)で満たしていた。考察:DCS決断基準を満たした時点で迅速に手術を施行するためには救急室開腹手術を要すると考えられた。

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© 2006 日本臨床救急医学会
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