抄録
国際バカロレア(IB)のプライマリー・イヤーズ・プログラム(PYP)は,国際的な視野をもつ人を育てるために,「5つの基本要素」(「知識」,「概念」,「スキル」,「姿勢」,「行動」)の習得を目指すものである.本研究では,このような要素の習得を目指すPYP の音楽の授業とはどのようなものかについて明らかにするために,PYP の認定を受けているA インターナショナルスクールのGarageBand を用いた音楽の授業を参与観察するとともに,この授業の指導意図と課題について教師へのインタビューを行った.本事例は5つの基本要素のうち「概念」に重点が置かれた授業であることを踏まえて,教師の指導言を分析した結果,「概念」理解へ導く手法として「実演を交えた説明」や「教師の指導意図の達成度合いの評価」が一定程度,有効に機能していたことが見えてきた.