教育実践学研究
Online ISSN : 2435-9521
Print ISSN : 1344-946X
実践研究報告
高校教員を対象とした「公募制メンター制度」に関する実践報告
A高校における人材育成のための組織的な取組を中心として
船越 康平
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 25 巻 2 号 p. 1-13

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抄録
本稿では,教員を対象とするA高校での公募制メンター制度の実践について分析し,小中学校と比較して協働性が低いとされる高校でも,横断的・学際的な領域など新たな教育活動の推進に対応できる人材を育成するうえで,組織的な取組が有効であることを明らかにした.教員の人材育成に関して,小中学校ではメンター制度など様々な組織的実践が行われる.しかし高校では,教科の専門性から個業化傾向が強く,教員の成長に資する組織的な取組が低調である.高校教員同士の対話の機会を創出する類似事例も見られるが,組織開発としての広がりや規模,実施期間において限界を有していた.A高校の実践に関する調査と分析から,専門性の枠組みを越えた横断的な教育活動(STEAM 教育やSSH 事業等)を推進できる高校教員を育成するうえで,公募制メンター制度が組織的な手法として有効に機能することが示唆された.制度を有効に機能させるには,メンタリングの自由度を高め,校内の公的機関が介在し取組の機能不全を回避するなど運用上の工夫が必要である.
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© 2024 日本教育実践学会
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