2022 年 35 巻 1 号 p. 61-67
これまで前立腺肥大症をはじめとした下部尿路閉塞 (bladder outlet obstruction : BOO) に対する経尿道的前立腺手術はTURP (Transurethral resection of the prostate) が主流であった. しかし本邦では2005年頃より急峻に核出術が普及し, 現在では核出術がTURPを凌駕する勢いである. その背景として, 出血が少ないこと, 灌流液に生食が使えること, 大きな腺腫に対しても施行可能なことが挙げられる. その反面, 手技が難しく, TURPと比べて術後尿失禁が多いとの報告もある. 本稿では, 前立腺のzonal anatomy, 前立腺腺腫の発生母地を理解し, 適切な核出を行うための注意点を外尿道括約筋の損傷をきたさないことに焦点をあてて解説した.